疑似3Dアニメーションにおいて、もっとも基本的で効果が高いのが拡大・縮小による奥行き表現です。
これは実際にZ軸方向へ移動しているわけではなく、あくまで2D変形による視覚的な錯覚ですが、人間の知覚特性により十分に立体的に見せることができます。
拡大=手前、縮小=奥
人間は、同じ物体であれば大きく見えるものは近く、小さく見えるものは遠いと無意識に解釈します。
そのため、オブジェクトを拡大すると手前に移動したように見え、逆に縮小すると奥に下がったように感じられます。
このとき重要なのは、実際には前後移動を行っていないという点です。
やっていることは単純なスケール変換ですが、それだけで奥行きが成立してしまうのが、疑似3D表現の面白いところです。

レイヤー分けの必要性
拡大・縮小は、基本的にパーツ全体に影響します。
そのため、キャラクターやエフェクトの中で「特定の部分だけを動かしたい」場合には、あらかじめレイヤーを分けておく必要があります。
例えば、
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全体を拡大縮小 → 前後移動の演出
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一部パーツのみ拡大縮小 → 動きや向きの表現
といった使い分けをするためには、構造設計の段階でのレイヤー分割が重要になります。
一部を歪めることで「振り向き」を表現できる
全体ではなく、**一部のパーツを台形状に歪める(非等方スケール)**ことで、物体が回転したような印象を与えることもできます。
これは、横方向の拡大・縮小や歪みを利用したもので、疑似的な「振り向き」表現としてよく使われます。
この方法は、完全な回転ではありませんが、
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少し角度を変える
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途中まで向きを変える
といった演出には非常に有効です。
完全な振り向き(180度)は不可能
ただし、疑似3D表現には原理的な限界があります。
2D素材には「裏側(背中)」の情報が存在しないため、180度の完全な振り向き表現は不可能です。
途中までは歪みや縮小で誤魔化せても、視点が反対側に回り込むと、必ず情報不足による破綻が発生します。
これは技術不足ではなく、疑似である以上避けられない制約です。
割り切りが重要
疑似3Dアニメーションは、
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出来ることを理解する
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出来ないことを最初からやらない
この割り切りが重要です。
拡大・縮小による奥行き表現は、実装が簡単で効果が大きく、
AnimeEffects や CSS アニメーションのような軽量な演出手法と非常に相性が良い手法です。


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